組織診断の神髄

やや仰々しいタイトルになってしまいましたが、先日HICEの報告会にて、とあるクライアント企業の経営課題と課題解決に向けた提言を行ったところ、「安藤さんは、どうしてそこまで分かるんですか!凄いですね・・・」と驚かれました。

HICEは、従業員満足度調査と顧客満足度調査を組み合わせた統合的な組織診断のツールなのですが、そこから導き出された結論が、実際にクライアント企業の経営陣が認識していた内部の課題感とばっちり当てはまったのです。クライアントからすると、何故内部者でもないのに、そこまで会社の深部の課題まで言い当てることができるのかと驚いたのでしょう。

実は、CS調査とES調査を組み合わせると、その会社がどれくらい順調で、言い換えると、どれくらい病んでいるか良く分かるのです。前年度の調査結果と比較すると、どこが改善され、どこが悪化しているか分かりますし、顧客の声・従業員の声(共に自由記述の回答)をよく読み込むことで、今何が起きていてどう受け止められているかが良く分かるのです。

特に重要なのが、回答者が自由に記入する自由記述の回答です。自由記述の回答から、真実を見抜くコツが3つあります。

  1. 複数人から共通して指摘されている問題に着目すること
  2. 真実性(客観的かつ公正に問題を描写し、私心が無さそうであること)が高い回答者と特定すること
  3. 指摘されている複数の問題を関連付け、因果関係を構造化すること

この3つができれば、的外れではない、芯を突いた「課題の指摘と解決に向けた提言」を行うことができるのです。

実際にどうやるかというと、推理小説に出てくる探偵にでもなった気分で、その会社がどんな状態で、どんなことが起きており、皆がどのように思っているか、妄想を膨らませるのです。「Aさんがこう言っていて、Bさんがこう言っているから、これはおそらく重要な問題だな。Cさんはこう言っているけど、これはおそらく小さな問題だろう。毎回、鋭い指摘をしているDさんがいっていることは、定量データの変化を裏付ける根拠と言えるし、AさんBさんが指摘している問題の本質的な原因かもしれない」こんな感じです(笑)

CS調査もES調査もアンケート調査なのですが、実はとても奥が深いのです。考え抜かないと、本当に重要なエッセンスまでたどり着けないので、大変ですし難易度も高いのですが、組織の深部をえぐるような組織診断を行い、それでクライアント企業が変わってくれるのであれば、非常に有意義な仕事になるものだと考えています。

アンケートから顧客の本音は分かるのか?

「顧客(消費者)に対するアンケート調査からは、顧客の本音は分からない」という意見を耳にすることがあります。果たして、それは本当でしょうか? 今回は、アンケート調査から顧客の本音は分からないのか?について考えてみたいと思います。

まずは、アンケート調査の流れについて触れたいと思います。アンケート調査を実施する上では、基本的に次のステップで進めることになります。

①仮説構築→②調査設計→③実査→④集計・分析→⑤解釈

この5つのステップで、それぞれ正しい方法で進めることができなければ、求めている答えに到達しないというのは勿論なのですが、最終的に「差」を生み出すのは、⑤解釈のところです。

例えば、新サービスの購入意向度調査をしたとしましょう。アンケートの回答者にとっては、まだ見ぬサービスなので、実際に自信が購入するかは本人にとってもまだ分かっていないわけですので、アンケート結果から直接的な未来予測ができないというのはその通りです。

しかし、アンケート回答者の属性情報を正しく理解していれば、どういう人たちがどれくらい好意的な反応をしてくれているかはわかります。また、既存のサービスや、他の類似サービスの購入意向と比較することで、実際にどれくらい売れているか把握可能なサービスからの情報も得られます。

こうした情報から、アンケートから導き出された分析結果を、「解釈」するのです。正直なところ、どう「解釈」するかは、分析者(アナリストやコンサルタント)のセンス(≒知識や経験の積み重ねから生み出せるハイレベルな洞察)に依存するのですが、よい解釈ができれば、かなりの精度で、顧客の本音を掴むことができます。